〈Side. Mari-nu〉
……マズいわね。
スージーってヤツ完全に恨んでるわ。
「申し訳ありません」
あたしの後に続いているダァチがあたしに頭を下げた。
「気にすることはないのに」
あたしは笑ったが内心穏やかではなかった。
確かにダァチは有名な黒剣の使い手で、数々の修羅場を抜けてきたからこそ手にすることができた。
それなのに、大した実力でもないくせに遠慮とか言っちゃって……。
思い出しただけで腹が立つ。
「……ひ、姫…魔力抑えてください」
ダァチの焦りが混じった声に我に返る。
どうやら無意識に魔力を放出していたらしい。
「……ごめん」
ダァチを見て謝ると、ニコリと笑った。
思えば不思議だったんだよね。
始めて合ったときからダァチは魔力反応にかなり敏感で、
普通だったら魔法が使えない人は普通魔力放出したと気づくのに時間が掛かるのに。