「ニ、ニーナちゃん、も気づいているかい?」
隣で歩いているナルシス君が耳打ちしてきた。
「……うん」
なるべく小声で答えた。
「スージーさんはなんでダァチさんを見ているんだろう?」
私が質問を投げかけると、ナルシス君は少し間を開けてから、
「恐らく、ダァチさんは有名な黒剣の使い手だからだろう。 彼、いかにもプライドが高そうだ。 本来は僕が使うはずだったんだ! なのにあの若造にま「そこっ! 聞こえているぞっ!!」」
「ひっ!!」
突然スージーさんの怒鳴り声にナルシス君が悲鳴をあげる。
見ると鬼の形相のような顔で見ていたから。
……怖い。
カタカタ震えていると私の前に人が立った。
「……二人は始めて来た場所で緊張してしまったんですよ。 アナタの気分を損ねてしまったことに謝罪します」
ダァチさんが頭を下げた。