「ねっ、ここを通って行くんでしょ?」
トンネルを指差し聞いてきた。
「あぁ。 少し離れた所に塔があるから、その最上階が学園長室だ」
「ふーん……やっぱりここからあたしだけで行くからリュウキは戻ったら?」
「何言ってんだよ! その学園長に命令されたからここにいるんだよ!」
スッと俺の顔の前に手を出され、
「杖なら話をつけて変わりに取ってきてあげる。 それに、妹さんを一人にさせるの?」
と、言われた。
「……」
黙っている俺を見て肯定と見たのか、
「じゃあ、しばしのお別れだね」
「ま…待って!」
手を振ってトンネルの中に入ろうとしたレイを、俺の後ろに隠れていたニーナが止める。
「どした?」
「……さ、さっきはありがとうございました」
「いいっていいって! 困っている人を助ける…これ常識でしょ?」
ニッと笑い、トンネルをくぐっていった。