「それで、姫の事なんですけど……」
「ここを、通ってはいないよね」
「そうだね」
「……」
学園の裏庭は広く誰が通るかすぐにわかるだろう。
今日は休日で今朝から誰もここを通っていないのだ。
「そうですか。 ありがとうございます」
ダァチさんは頭を下げ、俺らの横を通り過ぎた。
後ろ姿を見送り三人は俺を見る。
何も言わずジーッと。
「……リュウキはどうする?」
ニーナはおずおずと俺に近づいてきた。
「……何が?」
「マリーヌ様、捜しに行くの手伝おうよ!」
「……さんざんバカにしてきたくせに?」
ジッとロイドとナルシストを睨むと、ナルシストは慌てだし、
「ごめんよ、リュウキ君!」
「……」
ナルシストは謝ってきたが、ロイドは眉を寄せジッと見てくる。
「……」
睨み合いでロイドに勝った事なんて一回もない。