「……っ!」


さっき掴まれた時よりも強く掴まれ、グイッとリュウキの顔が間近に迫る。


「なんで…そんな平気そうにいえるんだよ。 "闇に取り込まれてしまうかもね"って。 てことはレイはレイで無くなるってことだろっ!?」


「……そうよ…悪化すれば人格を保つ事ができなくなり、人としてあるまじき行為をしてしまう」


あの時の男は人の手を喰おうとした。


あたしがいなかったらあの店は血塗られていただろう。


「……でもね、そんな人達は見て見ぬ振りなんてできない。 してはいけないのっ! どんな事があれ知らんぷりをして見ろよ! そこで被害が増えるのっ!!」


気づいたら声を荒げてしまっていた。


「あのねっ! 代々魔法書を使っていた人達は手に負えなくなってしまったらどうしたと思う!? ……憑かれた人を殺してたの。 元の人格に戻せないと諦めたのよ」


こんな事は責めているようで言いたくなかった。