目の前まで跳んできたレイにナルシストは「ひっ」と情けない声を上げ、


「お前、もう引き返せないからな」


低い声がレイの口から発せられた。


レイは肩越しから俺らを見て、


「改めて自己紹介を…本当の名は"レイリア"、これでも王家出身なの」


クルリと回りながらベッドの上に置かれた魔法書を手にし、


「みんなが知っていると思うけどイースター国の姫、"レミリア"はあたしの従姉妹に値する」


「従姉妹っ!?」


「そう…同じ日に産まれたから双子とよく勘違いされた」


魔法書を開くとパアッと五色光を発し出てきたのは……


「「「精霊っ!?」」」


五匹の精霊はすぐにレイを後に隠れる。


「……リュウキとニーナは知っているよね。 人型の姿で会っているんだから」


「「!!」」


驚いている俺らを後目にレイは手を俺の前に出し、


「……甘い匂いがする」


と言って笑った。