上着を脱ぎ捨て、魔法書から手を離す。
これから行うことに上着は邪魔だから。
そのまま浮いている魔法書に手を翳し、魔力を放出する。
あたりは重い空気に包まれた。
“グッ…ガァ! キサマ、ナニヲ……!”
突然の事態に狼狽えている男を冷めた目で見据え、
「――……'我が名はレイリア・イースター、王家の者なり……'」
スッと男の方に掌を翳す。
パァッと男の足元に魔法陣が現れた。
刹那、強烈な光が男を襲った。
“グァアァアアアアッ! マブシィ………ッ!”
「ほーら、早くその人から離れた方が身の為だと思うよ? あ、そもそも身とかないか」
“ナニヲ…ヌカセッ!”
どうやら離れる気はさらさらないらしい。
ま、予測済みだけどね。
だから男の足元から放つ光を更に強くした。