「……っ」
今…声が男の声と別な…ノイズが入り混じった声が合わさった。
それに店長の手を食べようと、した?
“……ヴ…グ…”
「!」
男が立ち上がり、あたしは店長を庇うように前に立ち魔法書を手に構える。
“グヒヒッ…ォマエ、キゾクカ?”
「……そうよ」
“ヒヒッ…キョゥリョクナマリョクダ……クヮセロォオォオ!”
間合いを入れずに唱える。
「中級の段、ウィンド・カッター!」
三日月のような刃物は次々と男の身体を切り裂いていった。
“ヴ…グ、ガァアアアア゙ッ!!!”
雄叫びをなびかせて男は店の外に飛び出した。
致命傷に近い怪我を追っているからすぐに追いつくはずだ。
「店長、あの食い逃げ犯を連れ戻してくるので」
腰を抜かし床に座り込んでいる店長を見下ろし、後を追いかけた。