「んで、あいつってだ「ニーナちゃーん!」」


「ひっ!!」


「「!?」」


トンネルの中から聞こえた甲高い声。


いかにも"自分大好き"という感じの……。


俺はよく知っている。


「また、ニーナを付け回しているのか? 変質ナルシスト」



「愛のアプローチといってくれないか? お兄さん」


「誰がお兄さんだ」


妹を後ろに隠して庇うようにする。


杖は今は無いから睨むしかない。


「今日こそ、ニーナちゃんを僕の虜にしてあげよう。 お兄さんは僕の"土"に醜くまみれてくれないか?」


ふふふと余裕の笑みを浮かべ、杖を取り出した。


「……っ」


いつもなら火で丸焦げにしているんだが。


どうする?


隙を見て相手の懐に飛び込むか?


いろいろ思考を巡らせていると、


「……あのー、あたしを置いてかないでくれる?」


俺とナルシストの間にレイが割り込んだ。