"橘"...誰もが一度は耳にした事があるだろう名家の名。


日本の経済に影響を及ぼす程の力を持つと言われる橘には一人の子供が居ると知られている。
御曹司として小さな頃から英才教育を受けてきたその子供はまだ中学生の年齢の身にして親が見ている資料の確認をするらしい。


橘の跡取り確定とされているその子供は「一つだけ」と、滅多にしないお願いを親にした。





「――公立の"普通"の学校に通いたい」








...それは名家に生まれた子供ならではの小さな願い事だった。









――そんな御曹司が自ら望み、選んだ高校はそこらで有名な不良が居ると言われる男子校だった。