どこかで聞いたことのあるその単語を忘れてしまわないように、私は何度も呪文みたいに口の中で繰り返した。
スピーカーは既に違う音楽を吐き出していて、気がつけば雪がチラチラと舞い始めている。
私は帰る足を速めた。
家に着いてすぐに妹の部屋へ向かう。
あいつの部屋で、”きっくす”という言葉を見たような気がしたのを思い出したからだ。
あろうことか、その部屋からは、さっき街中で聞いたメロディが大音量で響いている。CD発売はまだのようだったから、この音の独人はテレビなんだろう。
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