そんなの俺の我儘。

だって、傷付けたのは俺なのに。
どうして、俺が辛がってるんだ。
おかしな話だ。

あかりからしたら迷惑な話でしかない。



“夏樹っ、騙すなら完璧にやれよっ!
中途半端に情なんか持つなよ!
辛くなるのは夏樹だから”



哲にそう言われてたのにな。


情。

愛情をあかりに持ってしまったから。




翌日、仕事が終わってから俺はコンビニに寄ると哲と飲み食いする食料を大量に買い込んだ。
何日いるのかわからないけど、とりあえず買っておこう。


家に到着すると、既に哲が部屋の前でしゃがみこんでいた。



「ちょ…哲。お前電話ぐらいしろよ」

「仕事かと思って…」

「メールっていう手もあるだろ」

「ああ、忘れてた」



てへっって…男がやっても可愛くねえぞ。
本当に。


すぐに鍵を開けると、中へと哲を押しこむ。
全く、哲は何考えてるんだか。