歩き続ける私の手が、いつもの温もりで捉えられる。
繋がれた手が陸の物である事は、私の皮膚が覚えている。


気がつけば、いつの間にか隣りに陸が歩いていたのだ。


「あの人は? ほったらかしにしたら可哀想だよ」

「別にいいよ。彼女とは何でもないから」

「そう。でも陸のこと、好きだと思う」

「かもね。でも俺には関係ない」


私はただ、真っ直ぐに前を向いて歩きながら話す。


陸の視線が時々自分に向けられるのがわかる。
目を合わせるのが怖かった。