彼の名前は『陸』。


180センチ近い長身と、しなやかで程よい筋肉のついた美しい体をソファーに沈めながらこちらを見つめている。


私よりも8歳も年上である彼は、何かと私を子供扱いしたがった。


こんな小言もそのうちの一つだが、
例えば他にも、彼の入れてくれるコーヒーには、必ず私の分にだけ嫌みな程にたっぷりとミルクが入れられていたし、いつでも食べられるようにと、大量のお菓子のストックが呆れる程してあった。


それでも、もともと食べる事にあまり感心のない私は、ほとんどそれらに手を付ける事がなかった為、結果的には彼自身が食べないかぎりそのままの状態でストックとして置かれたままになるのである。