「ただいま」 「お帰り。今日もお早いことで」 母はリビングでテレビを見ていた。 振り向きもしない。 冷蔵庫から麦茶を取り出すと、コップに注いで一口飲んだ。 「ご飯食べるの?」 「いらない。食べてきた。」 背中越しでも会話が成立してしまう。 おそらく今日は日勤だったらしく、ずいぶんゆっくりとしている。 私は麦茶の入ったコップを持って、リビングに移動した。