陸には、もう一つの顔があった。


───『バックパッカー』

バックパック(リュックサック)1つ背負い、世界中を低賃金で旅する人達を呼ぶ愛称。


一般的な観光目的の旅行者とは異なり、現地の住民とのディープな触れ合いや、旅行者との交流を目的とした彼等は独自の情報網と世界観を持っている。


陸もまた、そんなパッカーの1人だった。


そんな彼の部屋に置かれた物の多くは、彼いわく戦利品であり、彼の歩んだ道の足跡だと言うことだった。