全てを受け止めてくれる何気ない優しい言葉や行動。


陸と一緒にいると、自分はまだまだ子供なんだと思えてしまう。
天の邪鬼でへそ曲がりな私を、丸ごと包み込むような。
どこか余裕すら感じるのだ。


どんなに頑張って背伸びをしてみても、私は彼の腕の中で泳ぎ回っているにすぎない。


でもそれは、とてつもなく心地が良いのだった。


時々、ほんの小さな我が儘を言ってみる。
そんな私を、少し困ったような顔で見つめる陸が好きだった。


時々、子猫のように甘えてみる。
愛おしいそうな、優しい眼差しの陸が好きだった。


気づけばいつの間にか、私は無防備で警戒心の欠片すらどこかに置き忘れ、陸の全てに溺れていた。


私はもう、陸に出会う前の自分の事など忘れてしまっていた。




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