「陸、今日は実家に帰ってて。」

「へえ…そっか。」


彼は適当な返事をしながら腕時計にチラリと目線を落とした。
身に付けている物が一々高級そうで、それでいてしっくりと馴染んでいる。


「ななちゃん、これから用事ある?」

「特には。暇潰してただけですから」

「ならちょっとだけお茶しない?少し付き合ってよ」


断る理由も予定も何も無かった。


「いいですよ。」


陸が一緒にいなければ、ただ流れていくだけの時間。