「陸、痛いよ…」

「俺は嫌だ。ななが誰かとデートするなんて」


陸の腕が緩むことは無かった。


「俺以外の男に、ななが触れられるなんて我慢できない。
もしも…もしも、そんな事があったとしたら、俺……殺しちゃうかもしれない」

「相手の男?」

「いや…七海のこと」


抱き締められた痛みよりも、胸が締め付けられる痛みの方が何倍も苦しかった。


陸の中に、私はこんなにも侵入してしまっていたのだ。


抜け出すのは、もう手遅れだった。