「やっと、華恋ちゃんの目を見て喋れる」
隣に腰掛けた誉くんはフッと嬉しそうに笑って、私の手を絡め取る。
絡まる指先が少しくすぐったい。
「行きたいところ、決まった?」
「えぇーっと……、まだ決まってない。行きたいところが多すぎて」
「ふふ。華恋ちゃんらしいね。大丈夫だよ。一つずつ行けばいいんだから。時間はたっぷりあるんだし」
ね?
と、目を細めて微笑む誉くんにコクンと頷いて、微笑む。
そうだよね。時間はたっぷりあるんだし、行きたいところから行けばいいよね。
「じゃあ、一番初めに行きたいところは……」
「うん」
「誉くんの家!」
「うん……って、えっ!?」
「………へ?」
なんで顔真っ赤にして驚くの?
「なんで……」
「なんでって、誉くんが言ったんだよ?新居お邪魔させてくれるって」
もしかして、忘れてたの?
「言った……けど」
何故か歯切れの悪い誉くん。
意味分かんないよ。