自分でもビックリするくらい、泣いた。おばさんの胸の中で、泣いた。

 いつもと違う六月一日の恐怖で?お母さんがいないことに対しての恐怖で?とにもかくにも、おばさんの腕の中はあたたかくて、声が枯れるまで泣き続けた。


「どうしたの?四季ちゃん。こんなに取り乱しちゃって……」

「お母さんが!お母さんが……!」

「四季ちゃん……」

「お母さんがいないんだ!いつもならちゃんと起こしに来てくれるのに、なんで今回に限って……!」

「四季ちゃん。落ち着いて」

「でも、お母さんが……!」

「四季ちゃん!」


 今までに聴いたことないおばさんの声に、僕はビックリしてしまって、次の瞬間には涙がとまっていた。


「よく聴いて、四季ちゃん。四季ちゃんのお母さんはね、もういないの」

「……え……?」

「ちょうど1年前の今日――六月一日に亡くなられて、いないのよ」

「……は、い……?」


 おばさんの言っていることが、僕には理解出来ない。


 ――何ヲ言ッテイルノ?


 だって、以前の六月一日までにはちゃんといたじゃないか。僕が殺してしまうその時まで、ちゃんといたじゃないか。

 ……僕が……殺して……?

 ……まさか。まさか、まさか、まさか。まさか?!そんなことって……!!!