ふと、目を開けた。見慣れた天井が視界いっぱいにひろがる。

 ほとんど諦め気味に、壁にかけている犬の写真を題材にしたカレンダーへと目を向けた。

 ……。
 言わずもがな、だね。


 ――六月一日。


 今日“も”僕は、“また”六月一日を過ごさなければいけないのだ。

 さて、これで何度目の六月一日だろうか。確かもう90回目はこえていたはずだ。……数字が曖昧なのは、数えるのが疲れてきたから。

 もう、いい加減に数えるのはやめよう。数えたって無意味なんだろうし。

 今日の日付が分かるようにと、毎朝必ず日めくりカレンダーの1枚をめくっているのだけれど、それもいい加減に飽きてきた。

 毎日めくってもめくっても、同じ六月一日のままなんだもの。面白くもない。

 はぁ……。
 さて、今日は何をようかな……?

 時計を眺めながらベッドの上でぼーっとしていると、1階からお母さんの声が聴こえた。

 ああ。僕がこうして部屋から出ないままで7時13分になったら、お母さんが声をかけてくるんだっけか。


「四季ー!はやく学校の用意をしちゃわないと、遅刻するわよー?」


 ……ってね。

 今回はいいや。行く気分じゃない。今日はこのまま家の中でぼーっとしていたい。誰とも会話したくないし、誰にも会いたくない。

 たまにはこんな六月一日があっても、いいでしょう?