そして…



『紅槻。 お前結構やるな』



壱碕にも褒められた。
俺より長い間アイドルをやって来た
壱碕。

壱碕は、丸一日ぐらい練習して
やっとダンスが上達したとか言ってた。



「サンキュー」


『お前って運動神経いいよな』


「だってサッカーやってたし」


『ふぅーん』



壱碕は、何故か悲しそうな顔を浮かべた



「どうした?」


『…僕さっ小さい頃からこの世界入ったから
自分のやりたい事何一つ出来なかったんだ』


”何一つ”その言葉が妙に胸に突き刺さった。
俺には、その悲しみは、良く分らなかった。

小さい頃から自分のやりたい事は、すべて出来て
ほしいものだってほとんどと言っても手に入った



サッカーだって
ゲームだって



「そっか…」


いつだって



どんな時だって



やりたい事が出来て