光希が横に並んでいるのに、何も喋らないまま走ってゆく帰り道。
―今日のこと覚えてたら、光希、ゴメンね…―


2人の別れる地点まで着いた。
長かったようにも思えた。

「じゃあね、光希」

「……」

いつも元気が普通な光希をずっと見ている私にとって、
この時の光希はすごく心配していた。

2人は別れ、それぞれの道へと進む。

「……ゴメン…」

届くはずのない声。
もし、届いていたら、光希に私のことを分かってもらえたかな…?
それとも、もう縁が切れてしまったのかな…?


1人ぼっちの道。
誰も外にいない、住宅地。
聞こえる音は、風で森の木々が揺れる音と、自転車をこぐ音。