私はずっと真哉と先輩のやり取りを黙って見ていた。

「そうだね。早く終わらせよう!」


周りがどんどん帰って行く。
ちらっと真哉を見るとペン回しをしていた。

夕日がだんだん傾いて来て、西日が図書室に射す。
その光が真哉に重なって茶色い髪がますます茶色く見えて、かっこいい。


「残り、あなたたちだけだから、戸締まり頼んでいいかな?」

「はい!」

「じゃあ丁寧に仕上げたらここに重ねて帰っていいからね★」

「分かりました♪」

そして先輩は私に図書室の鍵を渡すと、

「部活、部活!」

と言いながら走って帰っていった。


しばらくたって、机に衝撃がくる。
...真哉が寝てしまったのだ。

「真哉・・・・」

スースー寝息を立てながら気持ち良さそうに寝ている。

「柚紀・・・・那」

真哉が寝言を呟く。


ふいに涙が流れる。
止まらなかった。