まるでその通りに私は
認めるしかないなと
笑った。


私はあの図書室での、真哉の長いまつげ。キスした感触、流れる茶色い髪を

伸びた私の爪と一緒に切らないとね


夕日でオレンジに染まる二人を見つめる。
もう何がなんだかわからなくて、涙で滲んで見えなくなる全てが。
そのまえにちゃんと
言おう。

「あなたの事が好きでした」


家に帰ってすぐ、爪切りを戸棚から出す。

パチンパチンパチン

綺麗に伸びた爪を丁寧に切っていく。
トップコートを塗って、早く乾けとばかりに
息を吹きかける。
私の想いがこれ以上暴れないように、
上から固めておこうか
本当は伸ばしていたかった。
爪、昔真哉に唯一褒められた所だったから。
すごく昔の事だから
覚えてないと思うのだけれど。