「本社としては、このプランをーー」
ー社会人になって5年目。
学生の頃から夢だった編集職に就いてもう5年も経ったというのに、今だに新人扱いをされている有様。
今回、雑誌の大きなプランを進行するチームに配属されて少しは認められたのかと思っていたにも関わらず.....
「おい水沢!茶っ茶出してこいっ!」
「えっ、で、でも...か、会議中ですし、私も意見が...」
「お前の意見なんかロクなもんじゃねーことぐらいわかってんだよ、そんなんいいから茶持ってこい」
「は、はい...」
渋々、席から立ち上がり会議室から出る。私が出ていくと、プランの話し合いが始まった。
いつまでも、こうやって甘く見られ続けはや5年...。
私の部署が扱っている雑誌は会社の中でも1番と言っても過言ではないほど売れている雑誌で、上から配属される人はみんなデキる人ばかり。
ほとんどの人が私と比べられないほど、すごいキャリアを積んでいる。
だから、たった5年目でしかも女でこの部署に配属が決まったときは認められたんだと、すごく嬉しかったのにーーー
「完っ全に!舐められてるっ」
何が茶よ!ふざけんな!私の意見なんかロクなもんじゃないですって!?
聞いてもいないくせにあのハゲ親父!
「あ、水沢先輩?どうしたんです?そんな、怒って。確か、会議中でしたよね?」
廊下をズカズカとした足取りで歩いていると、後ろの方から神崎奈緒の声が聞こえてきた。振り向くと、書類を片手に立っている神崎奈緒と目が合った。
ー相変わらず細いな...。
神崎奈緒とは私より3年遅くに入社してきた後輩だ。
今は部署が違うが、最初配属されていた部署のとき同じだった。
彼女はすごく華奢な体型で異性はもちろん同性から見ても羨ましく思うほど、可愛い。
「あー・・・んと、ちょっとお茶頼まれて」