生活してみて、ヒナタという人物はどんな人物か、『お父さん』とはどんな人物か非常に興味を覚えた。
ヒナタは驚くほど常識というものがなかった。

一体今までどうやって生きてきたのだろうとさえ疑問に思った。

ある時はガスコンロをつけて手をかざし、『これは火ですか?』と聞いてきたこともあった。
そうやっていちいち家電の説明や、買い物の仕方や、お金の種類などを説明しないといけなかった。
かと思うと、妙に薬の名前や、食品の成分や、機械の仕組みなどに詳しかった。

それに、1度教えたことは、どんな複雑な使い方でも、すぐに覚えてしまった。
とても頭がいいのには間違いなさそうだ。

ヒナタは異常なほどの箱入り娘として育てられたのではないかと推測された。
多分『お父さん』が死ぬまで、一人で屋敷の外にも出たことはないのだろう。
しかしそうだとしても、正確な年齢はわからないが十何年、ここまで常識なく生きてこれるのだろうか?

一緒にいればいるほど、俺の中でますますヒナタに対する疑問は深まった。