俺とヒナタは二人ともおしゃべりじゃないから、普段はゆったりと時間が流れているように過ごしたが、ショウマがいると次から次に話題が絶えなくて、時間が早回しで動いてるみたいだった。

俺が思ってたよりずっとショウマは面白いやつだと思った。
その日は結局2時過ぎまでショウマはしゃべり倒して帰った。

次の日から、ちょくちょくショウマはうちに遊びにくるようになった。
新しいゲームが出たら、3人で遊ぼうと持参してきた。
ヒナタが一番早く操作をマスターしていた。

親とケンカしたと、口の端を切らして来たこともあった。
ヒナタが消毒して絆創膏を貼ってあげていた。

最初はショウマが俺たちの生活に入り込んでくるのが、すげーウザったくて嫌だったが、だんだんと俺にとっても、この3人の状態が心地よく楽しかった。

俺は小中とも、友達と呼べるほど仲の良い人間はいなかった。
7才で養護施設に入ってから、知り合いもほとんどいない小学校に通い、養護施設にいることでイジメにあった。

10才になって今の両親に引き取られると、また知り合いの一人もいない小学校に転校した。
転校生というだけで、ひどくイジメられた。

中学校になると、俺はイジメに合わない術を身につけていた。
とにかく全てに無関心でいればいい。
誰とも関わらなければイジメることもないしイジメられることもない。
だから、友達なんて必要なかった。

ショウマは初めての男友達と言っても過言ではなかった。
ただ、気になっていたのは、ヒナタのことだ。
ショウマは明らかにヒナタに好意を寄せていた。

本当はこの時に、もっと早くショウマの話を聞いてやれば良かったんだ。
期末を間近にひかえた学校は、生徒たちの焦りと殺気で充満していた。

俺は最近学校帰りに休んでいた空白部分を図書館で自習していた。
ショウマはその横で、テスト勉強なんてバカらしいといって、ぐーたら寝たり漫画読んだりしていた。