「そう言えば、二人雰囲気似てるよな~」
ショウマがスニーカーを脱ぎながら言った。

ヒナタはそのまま台所に向かい、花瓶にチューリップを差していた。
俺も荷物を冷蔵庫にしまいに台所に向かった。
ショウマは途中の風呂だとか更衣室やらをいちいち覗いてチェックしていた。

「私ケンちゃんのいとこじゃないけど」

「赤の他人の男女が、一つ屋根の下で暮らしてたらおかしいだろ」

「なんで?」

「なんでって、恋人以外はそんなことしないからだよ。
俺とヒナタは恋人じゃないだろ?」

ヒナタがなんて答えるのかすごく気になった。

あっさり恋人じゃないと言われるのはなんだかシャクだった。
お前なんか何でもないと言われてるも同然だ。

でも、恋人だと言われたら何て答えたらいいのかわからなかった。

「恋人って、セックスするかってこと?」
ヒナタの返答に絶句した。

「まぁ、そういうこともあるけど、愛しあうってことじゃないの。普通は」
俺は、さらに小声で答えた。

「愛しあうかぁ。私にはよくわかんないな」

「何の話?」

そこにショウマがやってきた。

「いや、ショウマは何の花が好き?」
我ながらつまんねー質問しちまったな。

「花?花なんてバラとかチューリップとかヒマワリくらいしか知らねーよ。男なんだから」

「そ、そうだよな。男に好きな花なんかあるはずないよな」

「なんだよケンジ。花屋でバイトでもするつもりかよ」

ショウマはいつもの人なつっこい笑顔でダイニングチェアに腰掛けた。
久しぶりに騒がしい食卓になった。