109にはいわゆるギャル服ばかりが並んでいて、ヒナタに似合うものは無さそうだったが、本人は嬉しそうにしていた。
もうすぐ夏だからか店頭には、ワンピースが目立った。

それにしても、過剰な露出のワンピースが多くて、どれを選んであげればいいのかよくわからなかった。

「そのワンピース昨日入ってきたばっかりなんですよ~。
良かったらゼンゼン試着してもらっちゃっていいんで~。
すごいお姉さんにお似合いだと思う~。」

俺はこういう適当なセールストークの店員は苦手だ。
なんで服屋の店員はどいつもこいつもこんなに適当なんだろう。
たまにはビシッと『お客様にはその柄似合ってません。』くらい言って欲しい。

そんなことを考えている間にヒナタは試着室に連れて行かれていた。
しょうがなく俺は後を追いかけるようについていった。
こんな店で一人にされたらたまったもんじゃない。

試着室は薄茶色のカーテンで丸く仕切られていた。
ヒナタは店員に勧められた黒に紫のラインが入ていて胸が大きく開いたワンピースを試着するようだ。
とても彼女のイメージとはかけ離れていて、着ている姿が想像できなかった。

「彼女さん、すごく綺麗ですねぇ。
スタイルいいから、ああゆうワンピとか超似合いますよ~。」

ヒナタは彼女じゃなかったが、あえて否定するのもためらわれた。
どことなく嬉しくないではなかった。
飼い猫が誉められたような気分と一緒だろう。

「ケンちゃんいる?後ろのジッパーが髪の毛に引っかかっちゃって取れない、、、。」