「ねぇ。あれって…」



「流川 園花じゃん。」
一気に機嫌が悪くなる綾。


「隣にいるの誰?」

「蓮くん?」

「違くない?
あれ、あたしのクラスの男子だ。3組の。」

「は?雅の蓮くんを奪っておいて他の男とも付き合ってるの!?

ありえない!!許さない!!」

プンプン怒る新奈。



あたしを除く3人がかなりおっきい声で騒いでたから当然、園花ちゃんもあたしたちに気づいて。

園花ちゃんはあたしたちに近づいてきた。
「城ヶ崎 雅。」


「…はい。」


「芸能人としてのあなたも、普通の高校生としてのあなたも、あたしには魅力が分からない。」


「…。」


「 蓮くんってさ、昔 雑誌の取材で『アイドルみたいなやつはキャピキャピしていて嫌い』って答えてるのよ。」


「…そうなんだ。」


「後ろの3人も勘違いしてるみたいだから教えてあげる。

蓮くんはこの女のことなんて好きじゃないのよ。」


アハハッと勝ち誇ったように笑う園花ちゃん。


「もっと言っちゃうと、あなたと蓮くんが同じ部屋になったのは必然なのよ。」


「…はじめから決まってた、ってこと?」


「そうよ。

学園長が成績トップで入学した蓮くんに、気に入った女の子と同じ部屋になっていい、って言ったそうよ。」


「…」


「勘違いしないでよね。蓮くんがあなたを選んだのは、復讐するため。」


「復讐? あたし、この学園にきて初めて蓮のこと知ったんだけど…」


「あなたに復讐、じゃなくて女に対して復讐するためよ。」



…もう分からなくなってきた。


「蓮くんは過去に女に騙されたことがきっかけで女にトラウマがあって。

だから高校生になったら学園で一番かわいい子を落として、捨てるんだって。

あなたはそのための道具として選ばれたのよ。」






…蓮が?
そんなことを考えていたの?


じゃあ、Dreamersのファンだってことも嘘なのかな。
あたしに惚れさせるために。




驚きとショックと風邪のだるさがあたしの身体を襲い、ここで意識が途絶えてしまった。