蓮があたしを強く抱きしめる。
「それで?」
「それで。
もう恋愛なんてしないって決めたの。
恋なんかしなくても結婚相手はいるから。
なのに、桐山くんにあんなこと言われて、彼もきっとあたしを見てるわけじゃないんだって思って悲しくなっちゃって。
しかも蓮にも『お前となら噂になってもいい』とか言われて。
桐山くんの事ですごく傷ついてたのに蓮にも同じような事言われてツラくて部屋を出ちゃったってわけ。」
「ごめん。あれは冗談だった。」
「知ってるよ。
分かってたけど、あの時あたしの中でいろんな事がゴチャゴチャになって冷静じゃいられなかったから。
あたしのほうこそごめんね。」
「うん。」
「あたしを見る目が変わったでしょ??
金持ちの娘は芸能界で仕事して、そのあとはホテル継いで金持ち街道まっしぐら。ってとこかな。
蓮には言いたくなかったんだ。」
「なんで?」