病院には行かず、颯佑の実家の方に足を運んだわたしたち。
ドアを開けてリビングに入ると、
ひとりでお酒を飲んでいるお義父さんがいた。
「どうした、こんな時間に」
わたしたちを冷たく見てまたなにか難しい本を手にとった。
「父さん、話があるんだ」
「…今忙しいから短めなのなら聞く」
「僕は澄乃と結婚したい」
「…それはどっちのスミノだ」
ゆっくりとわたしたちを見る。
颯佑はわたしの手を引いてお義父さんの前に立った。
「僕は渡辺澄乃さんと結婚したいです」
「認めない」
「父さんはわかってないんです。
澄乃がどれだけ素敵な人なのかを知ろうとしてないんです」
「お前、最初はあんなに嫌がっていたのにどんな心境の変化だ」
「…日々、澄乃といて初めは昔のこともあったしなんでだろって思ってたけど…だけど今は澄乃がいたから乗り越えられた壁もあって、僕を受け止めてくれた。もっと、もっと澄乃といたいって思ったんです」
「決まったことだ、破棄は破棄」
「父さん」
「俺がお前を認めるまではお前のわがままは聞かない」
「僕は」
「どうして、颯佑さんの努力を見てあげようとなさらないんですか?」
わたしはいてもたってもいられず、そう口に出してしまった。