「帰ろ」


わたしの手を握り、歩き出す。


せっかくひとつの壁を超えたのに。


わたしたちは終わってしまう。


なんでこんなにも平穏な時間をもらえないんたろう。


「颯佑」


「…なに」


病院を出て家に歩いていく。


「終わっちゃうね」


「…」


なるべく明るく言う。


颯佑はいつものように無視をした。


こんな無視にも慣れてきたのに。


家について中に入ると2人は靴を脱いでリビングに行く。