桜の花びらが舞い散るなか、まだ皴一つ無いセーラー服を見に纏い、学校の門をくぐったのが一年前。

季節は巡り巡って、今は新緑眩しい季節となった。

「おはよう!」
坂田麻衣子(さかたまいこ)が唯の肩に触れた。
「あ、麻衣子おはよ!」
連休明けの月曜日。
朝の学校はとても賑やかである。昨日のドラマの話、話題の漫画の話、あちこちから盛り上がる声が聞こえてきた。

「みんなー、おはよぉー。」
小沢実花(おざわみか)が大きめの紙袋を片手に教室へ入ってくる。

「…あれ?実花、ちょっと焼けた?」
「うんー、ちょっと沖縄に。」
実花は笑顔で答えた。もともと透き通るような白肌だった実花は、今は一足先に健康的な小麦肌になっている。

「やっぱお父さんが社長さんのお家は、連休も沖縄かぁ。」
立川成海(たちかわなるみ)はぼそりと呟いた。


「で?この袋は?」
唯は実花の紙袋を指差す。
「うふふ。みんなへの、お土産!」

「ほんとに?!やったー!」
皆、いっせいに袋に群がった。袋の中には、沖縄特産のお菓子、キーホルダー等々。
しかし、始業のチャイムがスピーカーから流れてきたため、分け合うのは後ほど、とお預けになった。