「きなこちゃん、心配してくれてありがとう。
でも多分それ、きなこちゃん待望の気まぐれだよ」

「えっ?」

きなこちゃんは暫くフリーズして、それからああ、と納得したようにぎゅっと握る手の力を緩めた。

「もしかして、お隣さん?」

「うん、多分ね」

私は頭にタオルを巻いたまま、サンダルを突っ掛けて隣の部屋を尋ねた。
勿論ちゃんとチャイムを鳴らす。

すぐに出てきた留奈さんは、私より先に私の部屋に入った。
今日も留奈さんは相変わらずだ。

「やっぱりさくらちゃんの部屋、落ち着く~! 
って、お客さん?」

ずかずかと我が家のように入ってきた留奈さんに驚いたのか、きなこちゃんは一瞬目を見開いたけど、すぐに笑顔になった。