夏休みに入ってから一週間が過ぎた。今年の夏休みは体育祭で私達3年はソーラン節を踊らなければならなかったので、頻繁に学校へ通っていた。その日も学校に来ていた。先生が外で練習しようと提案してきたので、体育館の前で練習することになった。赤田君のいるバスケ部は体育館で練習していた。練習が始まると何人かのバスケ部員が見ている。誰だろうとよく見てみるとその中に赤田君がいた。あっと思った瞬間目が合った。次の瞬間赤田君はパッと目をそらして練習に戻っていった。なんだかショックだった。それから練習が終わり教室から階段を降りて靴箱に向かっていると、向かい側の廊下から誰かが歩いてきた。その距離は20m以上あったのに、私は誰だかすぐ分かった。赤田君だ。
その瞬間私の心臓がドキドキいいだした。どうした私と自分に言いながらどんどん距離は近くなっていく。すると赤田君が私に気づいた。その瞬間くるっと進行方向を変えたのだ。え、どうしたの?と私はびっくりした。明らかにおかしい行動をとったのだ。赤田君って面白いなとついつい笑いがこみ上げてきた。その後も私の後ろを歩いてきているのだが、お互いなんだか気まずかった。そのまま駐輪場について私は赤田君より先に学校を出た。話したかったなと残念に思っていた私には気づかないふりをして蝉の声がうるさいなか自転車をこいだ。
きっとこの時から赤田君に惹かれていたんだろう。