すれ違った日からまた月日はすぎ、長いようで短かった夏休みが終わり、過ごしやすくなってきたある日の昼休み。真菜が私の席に来た。
「ねぇ、実衣は委員会何入る?」
と、聞いてきた。
「あー私生徒会長立候補するつもりなんだー」
とぼそっと言うと、真菜が
「えー!本気?」
と、びっくしている。
「本気に決まってんじゃん」
と笑いながら言うと、真菜は真面目な顔で、
「まぁ実衣は学級委員長してたからなぁー実衣が本気なら私全力で応援するから!」
と、ガッツポーズをして真菜が言った。
私は1年の頃から学級委員長をしていた。だから、2年の後半に行われる生徒会選挙に参加して生徒会長にでもなれたらいいなと前から考えていたのだ。
それから一週間。選挙週間が始まった。
そして無事私は生徒会長になることができた。
生徒会の仕事で、ある日の放課後、3役で部活の部費について各部長を回って部費の確認をする事になった。淡々とまわり、最後にあのバスケ部へ。
「すいませーん、部長さんいますか?」
と聞くと、部員が一斉に振り返った。そして、その中にあの赤田君もいた。相変わらずクールな感じだ。
「あ、どうした?」
と、部長である貝原勇太が近づいてきた。貝原は同級生で、なかなかモテる奴だ。
「あ、部費についてなんだけど」
と、話しながら赤田君がなんとなく気になって、チラッと見た。すると、赤田君と目が合った。次の瞬間赤田君が慌てたように目を逸らしてしまった。
「どうした?小山」
と、貝原に顔を覗き込まれた。
「あーなんでもない」
と、慌てて予算の紙を貝原に渡し、足早に体育館を去った。
私の後ろ姿を彼が見つめていたなんて知らずに。