あれから四ヶ月がすぎ、日に日に暑くなっていき、太陽が眩しい季節になってきた。
あれから例のバスケ部の彼はあっという間に人気者になっていった。
「あ、赤田くんだー」
と、友達の林真菜が言う。
「赤田って誰?」
疑問が浮かんだ。
「バスケ部の1年の子だよーほら、今騒がれてる。」
頭の中に彼の背中が思い浮かんだ。
「あーあの子ね、真菜好きなの?」
「違うよー、ファンみたいなもの。」
何なんだそれ、アイドルじゃあるまいし。と、我ながら冷めた事を考えていると、真菜が弾んだ声で
「こっちくるよ!」
と、私の手を掴む。前を見ると3人の男子グループが歩いてくるのが見えた。
「どこ?」
「真ん中!」
真ん中の彼を見ると、確かに女子受けしそうな整った顔をしていた。細めの猫目に、すらっとした鼻、笑うと顔がくしゃっとなって、可愛い感じになる。
そして、すれ違う時に一瞬だけど、彼と目が合った気がした。
「ね?かっこいいでしょ?」
と、真菜が笑顔で聞いてくる。
「そうだね、でも少し地味じゃない?」
と言うと、真菜が、
「地味な感じなのがまたいいんじゃんー」
と、膨れっ面で言う。
「はいはい」
と、交わしながら教室に登る階段をあがった。