空を眺めてると、気持ちよくて眠くなる。
隣にハルが居ることなんて、忘れてしまうくらいに。

「ゆっちゃんさぁ、学校行かない?」

流れてく白い雲が、丸くなったり、細長くなったり…。

「たまには行ってるの?」

暖かい春の陽射しは眩しくて、アタシは目をつむって、1人頭の中で音楽を奏でる。

「ゆっ~ちゃん」

ってまた顔の前に影が出来る。

「アタシは行かない」

「私さ、転校3回目なんだよね。」

「あっそ」

「親がさ転勤族で…中学も転々としてさ…」

「ふ~ん」

アタシはこの街から出た事がない。
親が代議士さんだし、元々は学校の先生だし、転勤とか縁が無かった。

「今回は栄転なんだって、それでずっとここにいられるんだけど…怖くて…」

「学校なんてロクなもんじゃないよ」

お偉いさんの子供ってだけでチヤホヤ、先生だって…アタシが何をしても怒らない。

「友達も作れなくて、でもねゆっちゃんに会えて良かった…」

「アタシ中学だし」

「ん…でも私はゆっちゃん気に入ったから」

「へ~」

アタシはまだハルの事よくわからない。

ただ、ハルは無理して笑ってるって事はわかる。
そうゆうのは敏感だから。