小学生になった俺は
あの時の母親の顔の意味がわかった。
「悠宇のパパはね、居ないの。」
『え?…なんて?』
「俺にとってのお前は1番じゃない。」
私の目も見ずに
ハッキリと言われた言葉の意味は
私の想像とは違った。
『今度の日曜日はデート行こうね』
あれは、まだ悠宇がお腹の中に居るって知らなかった時
「ごめん。その日は…」
『わかった。。。。』
前から日曜日だけは一緒に居てくれなかった。
この時からかな。
おかしいな。って思ったのは。
「俺、社長なんだ。」
突然の告白。
だけど
『前から知ってたよ。』
私は知ってたの。
アナタに奥さんが居たことも。
1番じゃなくてもいいんだ。
愛してくれれば…
それだけでいいの。
『うっ…』
慌ててトイレに駆け込む
「大丈夫か?」
心配してくれるアナタ
『風邪かもね…寝てれば治るよ』
だけど次の日も治らない
「病院行ってこい」
心配してくれるだけで嬉しかった。
『はーい』
次の日
どの病院に行こうか迷った。
ある可能性を感じてた私は検査薬を試した。
結果は
【陽性】
いっぱい悩んだよ?
アナタに伝えようか。
だけど私は日陰の女。
子供が産まれてもこの子も日陰の子。
産まない方が幸せなのかも。
思い切ってママに言ってみた。
赤ちゃんができた事も
相手には奥さんが居る事も
最初は反対された。
「そんなんで亜海が幸せになれるとは思えない」
って
だけど私はお姉ちゃんを味方につけ、
ママを説得させる事ができた。
問題は…
『あのね…赤ちゃんできた…』
「……」
産んでくれ。とも
堕ろせ。とも
何も言わない。
『私、何を言われても産むから』
結局アナタが口を開く事はなかった。