涙を拭おうと、手を出すよりも早く、颯太の手が私の目元におりてきた。
そして、優しく私の目元を拭う。
そんな動作にもドキドキして、胸が苦しくなって…また涙が零れるんだ。
…こんなんじゃキリがない。
そう思って、涙を止めようと颯太から顔を背けて、ゴシゴシと擦っていると
その手を颯太が掴んで、引き寄せた。
一瞬の出来事だった。その一瞬のうちに、私は、颯太の胸元に引き寄せられて、長い腕に包まれる。
…抱き寄せられる体制になった。
『……ま、って。…そんなこ、としたら……んっ…。』
ーーー涙が止まらなくなる
その言葉を発する前に、私の口は閉ざされた。
…颯太の唇によって。