「…結菜!!!」
突然響いた大声に教室が静まった。
私が、誰とも話す気になれず、1人で窓の外を眺めていた時だった。
ぼーっとしていたことで反応が遅くなったけど、声のした方へゆっくりと顔を向ける。
でも、その光景を見たことで、私の意識ははっきりとし、多分それまでうつろだった目を大きく見開くことになった。
『……か、えで…?』
…え?なんで?いま楓と私は喧嘩中で。
私が真っ白な頭を必死で動かしているうちに、楓は私の目の前にきていた。
『え?…な、んで。……え?』
訳がわからないでいる私に冷静な楓がひと言。
「話はあと。ほら、立って結菜。」
それは、もう長い間聞いていなかった、優しくて落ち着く、私の大好きな声だった。