「そ。…良かったわ。」 『う、うん。心配してくれて、ありが…と。』 そこまで話すと、不意に後ろに気配を感じた。 私は、それを感じても振り返ることが出来ない。 今、振り返ったらきっと…涙が溢れて、止まらないから。 「………ごめんな…。」 耳元でその声が聞こえたと思ったら、颯太は軽く私の頭に触れて、そのまま通り過ぎていった。