すぐにでも、ここから立ち去ろうと、適当に目に入ったカルピスを押して、取り出し口から取る。

そして、ダッシュで団席に戻ろうとした私の耳に、呼びかける声が響いた。


「結菜。」


私の名前を呼ぶ颯太の声は、どうしてか、すごく懐かしくて、一気に目から涙が溢れ出しそうになった。


『……っ。な、なに?』


必死で零れそうな涙を押し込み、返事を返す。



「…怪我。もう、大丈夫なのかよ?」

『え、あ…うん。』


私たちは、お互い背を向けて話す。


「…早く、完治させろよ。」

『…いや、もうほとんど治ってるんだけどね。速く走れないだけで。』