「颯太くーーーん!!!!」


周りの女子に負けないくらいの大声で楓が叫ぶ。


目の前を、颯太がすごい速さで通った。


そんな、速い中での一瞬。

1秒もないくらいの時間だけど、
颯太と目があった気がしたんだ。

お互いの視線が交わりあったその瞬間だけ、私にはスローモーションに見えた。

…気のせいかもしれない。

でも、確かに、確かに今、颯太の目はこっちを向いた。

…そう、信じたい。