女子が出て行った後、私の口を覆って居た手は、軽く離れていった。

が、そのあとすぐに正面から頬っぺたを強く掴まれる。


『っ!い!いはいいはい(痛い痛い)!』

「お前は馬鹿か!!」


いきなり怒鳴られて、私は一瞬痛みも忘れて呆然とした。


『…か、えで?』

「こんなとこで本性発揮してんじゃねーよ!ゆるふわ天使!お前の力はこんなもんだったのかよ!」


はっとした。


『…あはは…私、なにやってんだろ。』


楓の言うとおりだ。

体育祭に出れなくて。それに加え颯太のことを何回も何回も聞かれる。

ムカついて当然だよ。

…でも私はこの前みんなの前で、全部忘れて今まで通りになるって言ったんだ。