教室の前に立って私は大きく息を吸い込んだ。


…楓と大和君がいないこのときに、私が2人に寄りかからずに過ごせる空間を作らないといけない。


私はわざと教室の前のドアから入った。

休み時間だと言えど、教室にはほとんどの人が揃っていた。

いないのは、多分大和君、楓、颯太、紗江ちゃんの4人だけ。


前のドアは、先生が使うことが多いからドアを開けることで自然と視線が集まる。


私は、教卓に立ってもう一度大きく息を吸った。


『みんな…私の話聞いてくれますか?』