…てっきりこの後の予定とか聞かれると思ったのに。
色目使ってくると思ったのに。

こいつは全然そんなことない。

まあ、こいつが色目使うなんて無理だろうけど。
だいぶ幼いし…。

でも確かに…今まで見てきた新人とは何かが違う。

この時の俺は、なんとなくそう感じ始めていた。


「ん…?」

「どうかしましたか?」

思わず声を漏らしてしまった俺に、木下は心配そうに聞いてきた。


『女がみんな同じだと思うなよ?』

涼平が言ってたのって…
このことなのか?


「ん、なんでもない。明日からまたよろしく」

「…はいっ!」

自分でも驚くほど優しく言い返した俺に、木下は嬉しそうに返事をした。